2009年に登場した『League of Legends(LoL)』は、世界規模の現象となり、北米や欧州を超えて韓国、中国、ブラジルといった地域で根強い人気を誇る。特に韓国と中国の地域リーグであるLCKとLPLは、世界選手権で繰り広げられる頂上決戦の常連であり、その競争力は群を抜いている。
LCKは伝説的選手「Faker」を擁するT1などを筆頭に、世界大会で圧倒的な成績を残してきた。一方、中国のLPLも攻撃的なスタイルで急速に力を伸ばし、2018年以降は韓国の支配を崩してきた。両地域の競争は、eスポーツの歴史においても重要な位置を占めている。 欧州のLECや北米のLCSも存在感を示そうとするが、国際舞台での成果は限定的である。世界のLoLシーンは、今後もLCKとLPLの覇権争いが続き、他地域がどこまで割って入れるかが注目される。
LCK:韓国が築いた圧倒的支配力
韓国のLCKは『League of Legends』の世界において最も成功した地域の一つである。T1(旧SK Telecom T1)が5度の世界大会優勝を成し遂げたほか、Gen.G、DRXといったチームも近年での活躍が目覚ましい。LCKの特徴は徹底的な練習と戦略の緻密さにある。
個々の選手の技術力の高さはもちろんのこと、チーム全体での連携も優れていることから、国際大会での安定した成績が評価されている。 2023年のWorldsでは、T1やGen.Gがトップレベルのプレイを見せ、特にT1のGumayusiは過去最高のKDAを記録した。
Fakerもまた「LoLの神」と称されるほどの影響力を持つ選手で、LCKは彼を中心に発展してきた歴史がある。スポーツベッティングでもLCKのチームは常に有力視され、安定した成績から人気が高い。LCKの最大の強みは、試合の主導権を常に握り、終盤に確実に勝利を収めることにある。
LPL:中国の攻撃的プレイスタイルと台頭
中国のLPLは、韓国の長年の支配に挑む唯一の地域として注目されている。2018年のInvictus Gaming、2019年のFunPlus Phoenixの優勝によってLPLはその名を世界に轟かせた。LPLのプレイスタイルは他地域と比較しても非常に攻撃的であり、リスクを恐れず序盤から積極的に仕掛ける点が特徴である。
JD GamingやLNG Esportsなど、LPLのチームは大会で一貫して上位に進出しており、特にJD Gamingは多様な戦術を駆使することで評価が高い。LPLは個々の選手のメカニクスの高さに加え、ゲームの序盤から中盤にかけてリードを築くことに長けている。
このような積極的な戦術は、リスクも伴うが、勝利した際のインパクトは大きい。2023年のWorldsでは、Rulerなどの選手が驚異的な個人成績を記録し、LPLの競争力を証明した。
欧州LEC:伏兵としての可能性と限界
欧州のLECは、LCKやLPLほどの安定感には欠けるものの、時折世界大会で存在感を示すことがある。G2 EsportsやFnaticといったチームはこれまでに何度も決勝トーナメントに進出し、2019年にはG2が韓国のDplus KIAを破るなどの番狂わせも起こした。
LECの強みは、予測できない戦術と柔軟なドラフト戦略にある。G2のようなチームは独創的なプレイで相手の意表を突くことが多く、強豪地域に対しても一矢を報いる可能性を秘めている。しかし、欧州全体の競争力はトップチームに依存しており、FnaticやMAD Lionsといった他チームの成績は不安定であることが多い。これが、LECがLCKやLPLに追いつけない最大の要因である。
北米LCSの苦戦:地域の停滞と課題
北米のLCSは、かつては国際大会での健闘が期待された地域であったが、近年は低迷が続いている。2023年のWorldsではCloud9が初戦で勝利したものの、Team LiquidやNRGは早期敗退に終わった。LCSが抱える最大の課題は、選手の育成よりも他地域からの選手輸入に頼りがちな点である。この戦略がチーム内の連携不足を招き、国際舞台での成果を阻んでいる。
また、LCSはプレイスタイルが他地域に比べて保守的であり、序盤から積極的に攻めるLPLやLCKのチームに対して後れを取る場面が目立つ。地域全体のレベルアップが急務であるが、それには長期的な選手育成と戦術の見直しが不可欠である。北米が再び国際的な競争力を取り戻すためには、独自のスタイルを確立する必要がある。