バーミンガム大学の調査により、ValorantとFortniteが最も優れた不正対策ソフトウェアを持つゲームとして高評価を受けた。不正行為が蔓延するオンラインゲーム業界では、年間最大7,320万ドルの損失が報告されており、各ゲーム会社が対策を強化している。

ValorantのRiot Gamesは「Vanguard」を使用し、カーネルレベルでの保護を提供するFortniteもEpic Gamesの厳格な対策により評価を獲得した。他には、Battlefield 2042やRainbow Six Siegeもランクインしており、業界全体で不正行為対策の強化が進められている。

Valorantの「Vanguard」の強みとその背景

Valorantに搭載されている「Vanguard」は、Riot Gamesが開発した高度な不正対策ソフトウェアであり、他の不正対策ソフトとは一線を画す存在である。その特徴として、カーネルレベルの監視機能により、プレイヤーの動作やシステムの操作を徹底的に監視する仕組みが挙げられる。

これにより不正ツールやチートプログラムが実行される際に即座に検出でき、不正行為がゲーム内で蔓延することを未然に防いでいるのである。Riot Gamesはこの「Vanguard」を通じて、公平なゲーム環境を実現することに注力し続けているが、一部ではプレイヤーのプライバシーに対する懸念も指摘されている。

しかし同社は、プレイヤーの個人情報は保護されており、あくまで不正行為対策にのみ利用されると説明している。こうした努力は、Valorantが不正対策でトップに立つ理由の一つと考えられる。

Fortniteのカーネルレベルでの不正防止策

Epic GamesのFortniteは、不正行為対策にカーネルレベルの技術を導入していることが特徴である。この仕組みは、ゲーム起動時にシステムの深層部分までチェックを行い、通常のアプリケーションレベルでは検知が難しい不正ツールを確実に排除するものだ。特にプレイヤーの入力やコンピュータの挙動を細かく監視することで、不正な動作が発生した場合に即座に検知し、リアルタイムでの対策が可能となっている。

また、Fortniteは積極的にアップデートを実施しており、新たな不正行為に対して迅速に対応する姿勢を見せている。こうした技術の導入によって、プレイヤーに安心して遊べる環境を提供しているが、一方で検知精度が高すぎるがゆえに一部の正当なユーザーが誤って対策の対象となるケースも報告されている。この点については今後、さらに改善が期待される。

オンラインゲーム業界が直面する不正行為の脅威

オンラインゲーム業界では、不正行為の蔓延が深刻な課題となっており、その経済的影響も無視できない。今回のバーミンガム大学の調査によると、不正行為による収益損失は年間最大7,320万ドルに達していると推定されており、これはゲーム開発企業にとって大きな痛手である。特に、不正ソフトウェアは新しい方法で次々と進化を遂げており、一般プレイヤーがその影響を受けることは避けられない状況である。

UbisoftもRainbow Six Siegeにおいて独自の不正対策を強化し、他社同様に不正対策を進める姿勢を示している。不正行為が完全に撲滅されることは難しいと考えられるが、ゲーム企業は依然として効果的な対策を模索しており、業界全体で健全なプレイ環境を維持する取り組みが続けられている。この流れが、今後のゲーム業界における一層の発展に繋がる可能性がある。