多くの大手ゲームが一度は独自ストアに挑むが、最終的にSteamに戻るケースが増えている。しかし、World of WarcraftやMinecraftなど、未だに独自の道を歩むタイトルも存在する。この記事では、それらのゲームがSteamで配信される可能性を予測し、開発者の動向やビジネス戦略を分析する。Valveの影響力が強まる中、これらの「孤高のゲーム」がどう進化していくのか注目される。
長年の宿敵たちがSteamに戻る傾向
大手パブリッシャーは過去に独自のストア展開を試みたが、最終的にSteamに復帰する傾向が目立つ。たとえば、Activision Blizzardの『Diablo 4』や『Overwatch 2』、Ubisoftの『Assassin’s Creed』シリーズなど、多くの作品が一度は自社プラットフォームでの独占販売を目指したものの、販売実績の低迷などの理由でSteamへと戻ってきた。
これにより、Steamが持つ莫大なユーザーベースの重要性が再認識されている。Valveが運営するこのプラットフォームは、30%という手数料にもかかわらず、パブリッシャーにとって魅力的な市場であり続けている。さらに、独自ストアの維持には高額なコストと技術的な課題が伴うため、多くの企業が再びSteamへの依存を選ぶという流れが見えている。このような市場の収束が進む中、今後も多くの作品がSteamへの参入を果たす可能性が高い。
WoWとRiot Gamesの高い壁
World of Warcraft(WoW)やRiot Gamesの『League of Legends』といったタイトルは、Steam参入に慎重な姿勢を維持している。BlizzardのWoWは20年にわたり独自のBattle.netで展開されており、サブスクリプション管理やアイテム課金のインフラが複雑に絡み合っているため、Steamへの移行は技術的にもコスト的にも難しい。
一方、Riot Gamesは独自のエコシステムでゲームを提供し、収益の全額を手元に残す方針を固持している。これらの企業は、Steamへの依存がもたらす経済的リスクや競合タイトルとの衝突も懸念材料としている。RiotのタイトルがSteamに登場する可能性が低い理由の一つに、Valveの『Dota 2』や『Counter-Strike 2』が、彼らの競合相手である点も挙げられる。このため、WoWやRiot Gamesの作品が今後も独自プラットフォームを貫く可能性は高いと言える。
Minecraftの登場可能性は五分五分
Minecraftは、Microsoft傘下のMojangが開発したにもかかわらず、Bedrock EditionがNintendoやPlayStationなど多くのプラットフォームで提供されている。そのため、Steamへの展開も不可能ではないという見方が強い。実際に『Minecraft Dungeons』や『Minecraft Legends』といったスピンオフ作品は既にSteamで販売されており、Steam版のリリースを期待する声も少なくない。
しかし、PC版のMinecraftにはJava EditionとBedrock Editionの2つが存在するという事情がある。これらの違いを理解し、統一された形でSteamに導入するのは技術的な課題が多い。また、Microsoftは既に独自のMicrosoft Storeで販売を展開しているため、わざわざ30%の手数料を支払ってSteamに参入する必要性が薄いと判断する可能性もある。そのため、MinecraftがSteamでリリースされるかどうかは現時点で五分五分と見られている。
Epicの独占路線と他ゲームの行方
Epic Gamesは、フォートナイトをはじめとする独自のコンテンツをEpic Games Storeで展開し、Steamとは一線を画す戦略を採っている。特にEpicのCEOであるティム・スウィーニーは、GoogleやAppleとの法廷闘争を通じて、自社の収益を最大化するための方針を貫いている。これにより、FortniteがSteamに登場する可能性はほぼ皆無であると言われている。
さらに、Epic Games Storeは、自社ゲームの販売と同時に、他の大手パブリッシャーからの独占タイトルも取り扱うことに力を入れているため、ユーザー基盤の拡大に成功している。とはいえ、Epic Games Store自体が利益を出すのに苦労しているという報道もあり、将来的に方針が変わる可能性も否定できない。特に、Fortnite以外のタイトルについては、ユーザーのニーズに応じてSteamに参入する余地が残されていると考えられる。