「Fortnite」や「Fall Guys」などの人気タイトルを手掛けるEpic Gamesが、Androidデバイス向けの新たなゲームストア「Epic Games Store」を立ち上げた。この試みは、スペインをはじめとする複数の地域で展開されるテレフォニカのネットワークを通じて実現され、数百万台のデバイスに事前インストールされる予定である。
Epicはこれまで、GoogleやAppleのアプリストアで課される手数料問題を巡り対立を続けてきたが、今回の動きは、自社のゲーム流通を大幅に拡大する第一歩とみられる。Google PlayやSamsung Galaxy Storeに依存しない独自のエコシステム構築により、競争の促進を目指している。
さらに、将来的にはサードパーティのゲームも含めた新たな市場拡大を計画しており、2024年以降のさらなるパートナーシップが期待される。Epicが挑むこの戦略的な進化が、モバイルゲーム市場全体にどのような影響を与えるか注目が集まっている。
Epic Gamesとテレフォニカの提携がもたらす新たな流通モデル
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Epic Gamesは、これまでGoogleやAppleと対立してきた背景を持つが、今回のテレフォニカとの提携により新たな流通モデルを確立しようとしている。この提携は、Epicのゲームストアをテレフォニカのネットワークを通じて直接Androidデバイスに事前インストールすることを可能にした点で画期的である。
対象地域はスペイン、英国、ドイツ、メキシコ、さらにスペイン語圏のラテンアメリカ地域に及ぶ。Epic Games Storeは、これらの市場で「Fortnite」や「Fall Guys」などの人気ゲームタイトルをGoogle Playストアに頼ることなく直接提供できる。
Epicにとって、この動きは30%の手数料問題を回避する手段であり、競争が制限されがちなモバイルゲーム市場に新たな選択肢を提供するものと言える。公式発表によると、将来的にはサードパーティのゲームもダウンロード可能となる予定で、Epicはその影響範囲をさらに拡大する計画だ。
このような動きは、テレフォニカのような大規模通信会社と組むことで、競争力を高めるだけでなく、ユーザー体験の向上にも寄与すると考えられる。既存のストアの枠を超えた新たな流通モデルは、他の企業にも影響を与える可能性があるだろう。
GoogleやSamsungに対するEpic Gamesの主張の背景
Epic GamesがGoogleやSamsungを批判している背景には、アプリストア市場の競争環境に対する強い不満がある。同社は、Googleが「賄賂」や「ブロック」を用いて「Fortnite」を公式ストアから排除しようとしたと主張している。また、Samsungについても独自のGalaxy Storeを用いた排他的な動きが指摘されている。
特にGoogleがPlayストアと関連する決済システムを独占しているとされる点については、裁判所でも議論の対象となっており、Epicが問題提起を行うきっかけとなった。このような行動が競争を妨げているという指摘は、Epicの主張に一定の説得力を持たせている。
一方で、GoogleやSamsungの立場からは、既存のシステムの安全性や利便性が市場で評価されているとも言える。Epicがこの対立を通じて求めるのは、ゲーム開発者が自由に自らの作品を提供できる市場環境である。
今回の提携は、そのビジョンを実現する一歩として重要であるが、既存の大手ストアとの摩擦がさらに激化する可能性も否定できない。Epicのこの戦略が成功するかどうかは、ユーザーの反応と市場全体の動向にかかっている。
Androidデバイス向け事前インストールの可能性と課題
Epic Games StoreがAndroidデバイスに事前インストールされるという試みは、同社の戦略として新たな地平を切り開くものだ。しかし、この動きには可能性と同時に課題も伴う。Epicが目指すのは、スマートフォン市場における流通の多様化だが、既存の大手企業による影響力を完全に排除することは容易ではない。
テレフォニカのネットワークを活用した事前インストールは、ユーザーにとって手軽なアクセスを提供し、競合他社のプラットフォームへの依存を減らすことが期待される。しかし、ユーザーが新しいストアにどれだけの信頼を寄せるか、また利用を継続するかが成功の鍵となるだろう。
さらに、Epicが提案するサードパーティのゲームダウンロード機能は、独自の魅力を提供する可能性を秘めているが、運用面での課題もある。特にセキュリティ面や適切な収益分配モデルの構築が求められる。この取り組みが業界全体にどのような影響を及ぼすかは、今後の展開に注目する必要がある。